東洋医学 動物病院で注目
 鍼などヘルニア治療に効果

(2007年02月06日 神戸新聞)


病気やけがで苦しむ犬や猫を、鍼(はり)などの東洋医学で治療する動物病院が増えている。脊椎(せきつい)疾患の治療や、末期がんなどによる痛みの緩和などに効果的といい、獣医師らは「通常の投薬や手術などの西洋医学で効果があまり見られない場合、東洋医学は試す価値はある」と話す。ペットを「家族の一員」と考える風潮が広がる中、飼い主らの注目を集めている。(川口洋光)

神戸市兵庫区荒田町三の「バークレー動物病院」。治療台の上にのせられたダックスフントのチェリーちゃん(8つ)は、後ろ足がほとんど動かない。獣医師の甲斐達雄さん(64)が、背中に次々と鍼を刺し、二十分間ほど微電流を流すと、よろめきながらも歩きだした。

二週間前に椎間板(ついかんばん)ヘルニアを発症。飼い主の女性(65)=神戸市北区=は「鍼治療は二回目。少しずつ後ろ足が動き、うれしい」と目を細めた。

同病院では三年前から、犬猫のヘルニア治療に鍼を導入。手術で効果があるのは五割程度だが、七割近くは治るといい、噂(うわさ)を聞きつけた飼い主が毎月十人ほど訪れる。甲斐さんは「発症してすぐ治療すれば九割近くはよくなる」と胸を張る。

明石市大久保町大窪の「すこやか動物病院大久保駅北口病院」も一年前から鍼治療を始めた。院長の獣医師、新崎(あらさき)康彦さん(46)は二〇〇四年から二年間、獣医師を育てる日本獣医生命科学大学(東京都武蔵野市)に毎月通い、犬猫向けの東洋医学セミナーを受講。新崎さんは「効果的な治療法を探すうち、東洋医学に行き着いた」と話す。

新崎さんによると、牛や馬などの発情を促すための鍼灸(しんきゅう)利用は、戦前から普及していた。犬猫などペットの鍼治療の先進地はアメリカ。日本では十年ほど前から注目され始めたという。

鍼を刺すつぼの位置はほとんど人間と同じ。新崎さんは「滞っている“気”の流れを正常に戻すことで治療効果が表れる」と説明する。

赤穂市の会社員、野村有芳さん(56)の愛犬チャールスちゃん(16)は昨年、後ろ足が動かなくなった。同病院の噂を聞きつけ、鍼治療を三回受けると完治した。野村さんは「最初は半信半疑だったが、人間でも効果がある治療法だから不思議はないのかも」と喜ぶ。

同病院では漢方薬やハーブも利用。鍼治療と合わせ、末期がんなどの苦痛を和らげる効果があるという。新崎さんは「ペットに最良の治療をしたいと考える飼い主が増えている。東洋医学にも限界はあるが、西洋医学との併用で効果は上がる」としている。